日本小動物外科専門医のいる動物病院
気温や湿度の上昇に伴い、多くの動物が熱中症になります。自宅での留守番中、野外で遊んでいる最中、通院の道中、病院での検査中など様々な状況で発症します。朝夕が涼しくなってきても日中の残暑は厳しく、注意が必要です。そこで、熱中症の症状や気をつけたい点などについてお伝えします。
☀️熱中症の症状
過剰なパンティング(口を開けて浅く早く呼吸する)や頻脈、可視粘膜のうっ血もしくは充血が認められます。重篤になると虚脱(突然ぐったりする)、運動失調、嘔吐、下痢、流涎(よだれ)、振戦(ふるえ)、意識消失、発作などの症状が認められ、時には生命にかかわります。
☀️なぜ熱中症になるのか
人間は体全体で汗をかくことで体温を下げることができますが、犬や猫には汗をかくことができる汗腺が肉球にしかなく、汗をかいたとしても体温を下げるほどの機能がありません。そのため、犬はパンティングや流涎の量を増やすことで、猫は体を舐めることで気化熱を利用したり開口呼吸により熱を発散することで体温を下げます。高温多湿環境にいることでこれらの熱発散効率が悪くなってしまい、体温を下げられなくなるため熱中症を発症します。また過剰な運動、持病等による熱放散能の低下、長期の水分不足も熱中症を発症させる要因です。
☀️熱中症になりやすい素因を持つ動物
以上の動物は熱を発散する能力が低下しているため、要注意です。
☀️熱中症かもしれない!どうすればいい?
熱中症の症状は他の疾患でも見られるものが多く症状のみで診断することは難しいため、まずは動物病院に連絡してください。熱中症が疑わしい場合は移動中から体を冷やしていただくことがあります。冷やし過ぎてしまうとかえって危険なため、なるべく直腸温を測りながら冷却し39.4℃近くになったら中止してください。
スプレーで体表に常温の水を噴霧するか、常温の水で全身を直接濡らす、もしくは濡らしたタオルで全身を覆い、その後扇風機などで送風し気化熱を利用して徐々に冷却するのが一番効率のよい冷却法と言われています(体表冷却法)。凍った保冷剤を太い血管の走っている腋や股に挟んで冷却するのも効果的です。
※注意:冷水や氷の入った水に直接動物を入れたり、凍った保冷剤を体表に直接当ててしまうと、体表の細い血管が収縮して温度の高い血液が体の内部にとどまったまま各臓器を循環してしまい、体温が下がらず逆に症状が悪化してしまいます。またアルコールスプレーの噴霧も臨床的効果は実証されておらず、吸入による気道刺激や引火の可能性があり危険です。
病院に到着してからは、体温に応じて冷却処置を継続し、脱水による循環不全、上部気道閉塞や喉頭浮腫による呼吸困難、発作等の神経症状など各臓器への障害の有無や重症度を評価して輸液治療、酸素吸入等の治療を開始します。
☀️熱中症を予防するために
生活環境の気温が高くならないように気をつけるのはもちろんですが、空気がこもって湿度が高くなりすぎないようにすることも大切です。また、いつでも十分に水分補給ができる環境にしてあげてください。
日光の照り返しによって地面近くの温度は気温よりも高くなりやすいため、散歩は日の出前・日の入り後などなるべく涼しい時間を選んで行く様にしましょう。キャリーでの移動をする際は風通しを良くし、凍った保冷剤を一緒に入れることで温度が上がりすぎるのを防げます。
エアコンをかけずに締め切った車内は空気がこもりやすく、数分で急激に温度が上がってしまうため大変危険です。愛犬・愛猫と一緒に車で外出される際、夏場は特に、エンジンを切った車内に動物を置いて離れるのは絶対に避けてください。
以上、熱中症についてお伝えさせていただきました。