日本小動物外科専門医のいる動物病院
ラブラドールレトリーバー、10歳、雄、体重31.3kg
右側頭部の骨肉腫の切除を希望し来院しました。
身体検査では右側頭部に硬い腫瘤が認められ、口を開けることを嫌がり、腫瘤の触診による疼痛がありました。体表リンパ節の腫大は認められませんでした。
神経学的検査にて右威嚇瞬き反射、眼瞼反射の低下など右顔面神経の機能低下が認められました。その他の脳神経の異常は認められませんでした。
腫瘍を含む頬骨弓、下顎骨尾側、顎関節、周囲の筋肉、耳下腺リンパ節、皮膚を含むエンブロック切除を実施しました。
眼球および外耳道はともに温存され、ドレインを装着し閉創しました。
病理組織学的検査の結果、骨肉腫と診断されました。腫瘍境界は明瞭で、マージンや脈管内浸潤、リンパ節などへの転移はありませんでした。
Sちゃんは術後20日よりかかりつけの動物病院にて化学療法(抗がん剤治療)を3週間間隔で6回実施し、術後約7ヵ月後に胃拡張捻転症候群により亡くなるまで咬合などに問題が生じることなく過ごしました。