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脊椎骨折・脱臼(Vertebral fractures and luxations)

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脊椎骨折・脱臼とは

脊椎骨折・脱臼(Vertebral fractures and luxations)の多くは、交通事故や落下事故などの重度の外傷によって起こります。骨折・脱臼した脊椎は非常に不安定で、更なる脊髄障害を起こさぬよう動物の取り扱いや移動には注意が必要です。

症状および診断

脊椎骨折・脱臼による脊髄障害により、脊椎痛や後肢麻痺、四肢麻痺などの神経症状が現れます。頭蓋骨、四肢骨格、骨盤などの骨折を併発していることもあります。頭部外傷による意識状態の低下、胸部外傷による肺挫傷、気胸、心臓機能障害、腹部臓器の破裂による血腹や尿腹などを併発し、来院時にショック状態のこともあります。重度の頚部脊髄損傷では呼吸機能が障害され、受傷時に死亡することがあります。

神経学的検査により脊髄障害部位を特定し、その重症度を評価します。脊椎骨折・脱臼の患者では疼痛、意識状態の低下、脊髄ショックなどにより受傷初期には正確な神経学的評価が困難なことがあります。胸腰部脊椎の骨折・脱臼の予後判定因子として後肢の深部痛覚の有無が最も重要で、深部痛覚を消失していない患者では脊髄減圧、脊椎安定化手術により歩行機能回復を期待できますが、深部痛覚を消失するほど重度な脊髄障害がある場合には、術後に歩行機能を回復する可能性は低いと判定します。
変位を伴う脊椎骨折・脱臼はX線検査で診断します。微小骨片の検出、脊髄圧迫の評価、脊髄全体の多発性病変の検出、椎間板ヘルニアなどの併発疾患の確認は脊髄造影検査やCT検査で診断します。

治療

脊椎骨折・脱臼の治療目的は、損傷を免れた神経組織の温存と、損傷した神経組織の回復に適した環境を維持することであり、脊髄減圧と椎体固定を行います。ピンと骨セメント、プレートとスクリューなどのインプラントを用いて椎体を固定します。
頚部脊椎の固定には陽性ネジピンと骨セメントによる腹側椎体固定が適していますが、十分な固定強度が期待できるロッキングプレートも有効です。頭側胸椎は靭帯や肋骨などにより安定性が強く脊椎骨折・脱臼が起こりにくい部位ですが、フレンチブルドッグなどの短頭種や一部のトイ犬種では先天性の椎骨奇形に関連した脊椎脱臼や不安定症が起こります。尾側胸椎~腰椎は脊椎骨折・脱臼が最も起こりやすく、陽性ネジピンと骨セメントでの椎体固定を行います。

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