日本小動物外科専門医のいる動物病院
ラブラドールレトリバー、11歳齢、避妊雌、24.5kg
左側前肢跛行を主訴に受診されました。
左側上腕部の著しい腫脹と疼痛が認められました。X線検査にて左側上腕骨の骨破壊像および骨膜反応が認められました。残存肢に関節の異常や神経学的異常は認められませんでした。著しい疼痛により患肢を接地することができず、画像所見より骨腫瘍が強く疑われたため、オーナー様と協議した結果骨生検は省略し全身の評価のためのCT検査、および疼痛緩和と今後の生活の質の向上のため左側前肢断脚術を実施することとなりました。
CT検査では左側上腕骨の著しい骨吸収像および骨膜反応が認められました。肺野や胸腔・腹腔内リンパ節への明らかな転移像は認められませんでした。
左側前肢断脚術(肩甲骨離断術)を実施しました。術後の疼痛管理のため創部にカテーテルを留置し数日間局所鎮痛を実施しました。
病理検査の結果骨肉腫と診断されました。腋窩リンパ節への転移は認められませんでした。
手術翌日より3肢での歩行が問題なくできていました。
骨肉腫に対し断脚術のみ実施した場合の予後は約4ヶ月、断脚術と抗がん剤治療を併用した場合の予後は10~12ヶ月と報告されています。
Sちゃんは術後の補助治療として、かかりつけ医にて抗がん剤治療を実施することとなりました。