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唾液腺嚢胞(Salivary gland cyst)

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唾液腺嚢胞とは

犬の唾液は、耳下腺、頬骨腺、下顎腺、舌下腺などの大唾液腺と、軟口蓋、唇、舌、頬に散在している小唾液腺より分泌されています。
唾液腺嚢胞は大唾液腺導管の閉塞や破裂により、唾液が皮下組織に漏出し貯留して発症します。舌下腺によるものが最も多く、ガマ腫と呼ばれることもあります。

症状

波動感のある無痛性の大きな腫瘤が顎、舌下部、咽頭部や頬骨部にできます。
舌下部に発生すると発声異常、咽頭部では呼吸困難、頬骨部では眼球突出や斜視などを起こします。

診断

針で吸引すると少量の好中球を含む唾液が採取され、X線造影検査により唾液腺嚢胞の部位や個数を確認します。

治療

穿刺による吸引では再発を繰り返すため、外科的に唾液腺を摘出します。

症例

ペキニーズ、雄、8歳
1年半前から徐々に腫大していた右側頚部の腫脹を主訴に来院しました。興奮すると呼吸困難になり、失神することがありました。

  • 右側頸部の腫瘤の外貌
  • 右側頚部の腫瘤から茶褐色の混濁液を採取

嚢胞内X線造影検査を実施し、大きな嚢胞が2個確認されました。

  • 2つの大きな嚢胞が確認できる
  • 1つ目の嚢胞を鉗子で保持し、根元に2つ目の嚢胞が確認できる
  • 摘出した組織

術後、呼吸困難や失神の症状は改善し、元気に生活しています。