日本小動物外科専門医のいる動物病院
正常な嚥下では、口腔内で舌の動きによって形成された食塊は舌の基部によって口腔咽頭に移動した後、咽頭筋の収縮と協調的に弛緩した輪状咽頭筋を通過して頸部食道に入り、その後に輪状咽頭筋は収縮します。
輪状咽頭アカラジアは嚥下反射の先天的な異常で、嚥下時に輪状咽頭筋の協調的な弛緩が起こらないため、うまく飲み込むことができません。
極めて稀な疾患ですが治療可能であり、他の嚥下障害疾患との鑑別が重要になります。
主な症状は離乳時から始まる固形物の採食直後の吐出(吐き出すこと)です。
水や液状物は問題ないことが多く、授乳期には症状がはっきりしません。発育不良や体重減少が認められ、吐出を繰り返し誤嚥性肺炎を併発することがあります。
確定診断にはバリウムを嚥下させながらX線透視検査を行います。
この検査で食塊を食道へ押し込む咽頭の機能は十分ですが、輪状咽頭括約筋が嚥下反射時に閉じたままであることを確認します。
内科的治療はなく、輪状咽頭筋切開術により治療します。甲状咽頭筋の一部も切除することがあります。