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血管輪異常(Vascular ring anomalies)

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血管輪異常とは

血管輪異常は胸腔内食道を取り囲む大血管とその分岐の先天性異常で、外部から食道を狭窄する疾患です。
右第4大動脈弓遺残(Persistentright aortic arch:PRAA)が最も頻発する(95%)血管輪異常で、胎子期の右大動脈弓が遺残し、輪状の組織となり食道を狭窄します。
大部分は動脈管索で血行はありませんが、10%の患者では血行が保たれています。
犬ではシェパード、アイリッシュセッター、ボストンテリアなど、猫ではシャム、ペルシャなどが好発品種です。

症状

輪状咽頭アカラジア同様、授乳期の症状はなく離乳時から始まる固形物の吐出が特徴的です。
発育不良や体重減少が認められ、吐出を繰り返すうちに、誤嚥性肺炎を併発することがあります。

診断

食道造影X線検査で心基底部の食道狭窄と頭側の食道拡張が典型的な所見で、尾側の食道は正常なことが多いです。
まれに食道全体が拡張し、心基底部のみに狭窄が認められることもあります。
食道内視鏡検査では心基底部付近で食道の壁外性絞扼が認められ、絞扼血管の拍動により血行の有無を確認します。

  • 心基底部での食道の狭窄と頭側の食道拡張が認められる

治療

奇形血管の外科的切除が必要で、絞扼血管のタイプや血行の有無により難易度が異なります。
PRAAの52頭の手術例の報告では、手術を無事に終えて退院したのは48頭で、退院後、経過観察できた28頭のうち5頭は食道の機能回復が十分でなかったために安楽死されました。残りの23頭の長期予後は20頭で良好でしたが、3頭は不良でした。患者の多くは術後も食事療法などの継続治療が必要でした(Krebs, JAAHA,2014)。
術前の食道拡張が重度であるほど術後の吐出が持続する可能性が高く、できるだけ早期の手術が勧められます。