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動脈管開存症(Patent Ductus Arteriosus: PDA)

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  3. 動脈管開存症

動脈管開存症とは

胎児期に大動脈と肺動脈を結んでいる動脈管は生後間もなく閉鎖します。
動脈管開存症(PDA)は動脈管が生後も閉鎖せずに左心室から大動脈に送られた血液の一部がより血圧の低い肺動脈に流れ込む先天性心疾患です。そのため肺の血流および肺から左心房に戻る血液量が増加して、左心房や左心室に容量負荷がかかり、左心不全が起こります。また、過剰な血液が流れ込む肺の血圧が高くなるため、肺血管は動脈硬化を起こし、肺、さらには右心系のうっ血により最終的には右心不全を起こします。
犬に最も多い先天性心疾患でトイプードル、ポメラニアン、マルチーズ、シェルティー、コリーに好発し、メスの発症が多いとされています。猫では稀な疾患です。

症状

残存する動脈管の太さにより症状の進行程度が異なります。
初期では心雑音以外の症状が無く診断が遅れることがありますが、成長とともにうっ血性心不全による発咳、運動不耐性、肺水腫による呼吸不全などをおこします。

診断

収縮期拡張期の持続性の心雑音が特徴です。
胸部レントゲンでは肺動脈や心臓の拡大がみられ、心臓エコー検査では肺動脈内に流れ込む異常な血流を描出できます。

治療

開胸手術により、開存している動脈管を分離、結紮し、肺と心臓の負荷を取り除くことで、患者の約9割で完治が期待できます。
インターベンションによる栓塞術は侵襲性が低いメリットがありますが、患者の体重、動脈管の形状や太さにより限界があります。
治療が遅れ肺高血圧症に移行すると、手術をしても治療効果が期待できなくなるため早期に手術を行う必要があります。

症例

チワワ、オス、7ヶ月齢、1.3kg
健康診断に来院し連続性心雑音が聴取され、心臓エコー検査にてPDAと確定診断しました。

  • 心臓エコー検査のカラードプラ像:肺動脈に流入する短絡血管の血流が確認された。
  • 残存する動脈管を分離・結紮する。

本症例は術後、元気に過ごしています。