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外耳炎(Otitis externa)

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外耳炎とは

耳道の上皮および耳介に生じた炎症を外耳炎といい、その原因は感染、異物、免疫介在性皮膚疾患、内分泌疾患、腫瘍性疾患などです。慢性的な炎症による上皮性過形成や組織の石灰化などが耳道の狭窄や感染の悪化を引き起こします。外耳炎の患者の50-89%は中耳炎を併発しています。
外耳炎は、長く垂れ下がった耳を持つ犬種(アメリカンコッカースパニエル、バセットハウンドなど)や耳道内に被毛が多い犬種(トイプードルなど)に頻繁に起こり、立ち耳を持つ犬種ではシェパードに好発します。

  • 耳道のCT画像
  • 右側の鼓室に組織が充満し中耳炎が疑われる
  • 外耳腫瘤が原因となって生じた外耳炎

症状

頭部を振る、耳の周囲の痒み、耳の痛み、慢性感染による化膿性分泌物などが認められます。
外耳の炎症が周囲組織に波及し中耳炎や内耳炎が存在する場合は鼓膜の障害や神経障害(内耳・顔面・交感神経)を起こします。難聴や斜頸、瞼が閉じない、ホルネル症候群(縮瞳、第三眼瞼突出、眼球陥没、眼瞼下垂、結膜や皮膚の紅潮)などの症状が現れます。

診断

触診、耳鏡検査、画像検査(X線や断層撮影)、分泌物の培養検査などを行い診断します。外耳炎の根本的な原因を特定することは困難ですが、基礎疾患に対する適切な治療が重要です。

治療

  • 内科治療

外耳炎が軽度で外耳道が閉塞していない患者では内科治療を行います。耳の洗浄と乾燥、薬剤(抗生物質、駆虫薬、抗真菌薬、抗炎症薬など)の投与を行います。異物や耳道内の被毛、アレルギーが存在する場合は原因の除去が必要です。甲状腺機能低下症などの基礎疾患が存在すれば治療を行います。

  • 外科治療

内科治療に反応がなく再発を繰り返す、耳道閉塞がある場合は外科治療が必要です。コッカースパニエルなどの外耳炎の好発犬種では、早期に外科治療を行うと有効です。
水平耳道より遠位に病変が限局している場合は外耳道切除や垂直耳道切除が適応となり、水平耳道にまで炎症や腫瘍が波及している場合は全耳道切除を行います。中耳炎が存在すれば全耳道切除に加えて外側鼓室胞骨切りまたは腹側鼓室胞骨切りを併用します。

  • 全耳道切除
  • 外側鼓室胞骨切り

合併症

顔面神経麻痺、前庭障害、ホルネル症候群、難聴、慢性瘻孔形成、表在性創傷感染、耳介の虚血性壊死などが起こります。顔面神経麻痺は全耳道切除と外側鼓室胞骨切りを行った犬の3-27%で認められます。猫では最大74%の患者に術後顔面神経麻痺が見られ、47%の患者では永久的な麻痺が残ったとの報告もあります。第三眼瞼突出は犬の3.3%猫の58.3%に、斜頸は犬猫共に3-11%に見られます。(Fossum 2019 Small Animal Surgery) 
合併症の発生には外耳炎の重症度と術者の技量が大きく影響します。

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