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先天性肘関節脱臼(Congenital Elbow Luxation)

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先天性肘関節脱臼とは

先天性肘関節脱臼は稀に見られる疾患で、脱臼の形態に応じて3つに分類され、それぞれ発生頻度や好発犬種、治療法が異なります。

タイプI:橈骨頭が外方に脱臼しているが、尺骨は比較的正常な位置にあるもの

アフガンハウンド、ゴールデンレトリバー、コリー、ボクサー、ブルドッグ、ドーベルマンピンシャー、シェルティー、ジャーマンシェパード、ペキニーズ、ダックスフンド、シーズー、ジャックラッセルテリア、ヨークシャーテリアなどの犬種での発生が報告されています。
多くの患者は生後2〜5ヵ月で跛行し始め、身体検査では肘関節の可動域の低下、疼痛、筋萎縮などがみられます。X線検査により診断し、他の骨格の成長異常や角度変形などを評価します。慢性経過した患者には変形性関節症が認められます。
重症患者には橈骨の骨切り術や楔形骨切除術と橈骨頭の整復後に橈骨をインプラント固定する矯正手術法が報告されています。整復位を維持するための経関節ピンを一時的に留置することもあります。

  • 正常肢のX線画像
  • 患肢のX線画像。橈骨が外側に脱臼している

タイプII:尺骨が外方に回転し脱臼しているもの(最も発生が多い)

ヨークシャーテリア、ボストンテリア、プードル、ペキニーズ、ミニチュアピンシャー、ポメラニアン、パグ、イングリッシュブルドッグ、チワワなどの小型犬での発生が多く、前肢の変形は生後すぐに認められます。前腕や肘を着地して歩行するほどの重度の症状を示すこともあります。症状が認められない場合は運動制限やリハビリテーションによる保存療法を選択する場合もありますが、重度に変形する前の早期の外科手術をお奨めします。骨の変形や変形性関節症などが認められる以前の3〜4ヵ月齢未満の患者に対しては、非観血的整復と経関節ピン設置により症状が改善することがあります。非観血的整復では安定化しない場合や4〜5ヵ月齢以上の動物では、尺骨骨切り術、創外固定による尺骨回転術、軟部組織の切開術などによる観血的整復を行い、必要に応じて整復位維持のための経関節ピンを設置します。 

タイプIII:橈骨と尺骨がともに脱臼している(発生は稀)

 

タイプI・IIの脱臼は、外科手術により歩けるようになる可能性があるため、まずは専門医への相談をお勧めします。

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