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先天性肘関節脱臼のシーズーJちゃん

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  5. 先天性肘関節脱臼のシーズー Jちゃん

患者紹介

シーズー、2ヵ月、雄、体重1.9kg
5日前より右前足を使わなくなったとの主訴で来院しました。

診断

  • X線検査
  • 矢印:尺骨が外方に回転・脱臼している
  • 矢印:尺骨が脱臼し正常な関節構造が形成されていない

先天性肘関節脱臼タイプIIと診断し、外科手術を行いました。

治療

脱臼防止のためステンレスピンを上腕骨に挿入しました。

  • 術後X線

術後経過

手術から1ヵ月後には跛行なく歩けるようになり、3ヵ月後と4ヵ月後の検診の際には元気いっぱい走り回っていました!

現在手術から約7年経ちましたが、引き続き元気に痛みなく生活しており、肘の変形性関節症も最小限です。

  • 術後3ヵ月
  • 術後4ヵ月
  • 術後6年10ヵ月

犬の先天性肘関節脱臼は治療困難な病気で、これまでに様々な治療方法が試されてきましたが正常に機能回復した報告はほとんどありません。Jちゃんは生後10週齢で早期に診断・治療し、治療から7年経った現在も機能障害なく正常に生活できています。関節の可動域を維持した状態で整復を維持する脱臼防止ピンを早期に実施することができれば、これまで治療困難だった病気の有効な手術方法となる可能性があります。Jちゃんの治療内容とその長期成果を論文としてまとめ、2025年に米国動物病院協会の公式ジャーナルに新たな手術方法として世界で初めて取り上げられました。

Treatment of Congenital Humeroulnar Elbow Luxation (Type II) Using Antiluxation Pins in a 10-Week-Old Dog

シーズー、ヨークシャーテリア、ボストンテリア、トイプードル、シェルティー、ペキニーズ、ミニチュアピンシャー、ポメラニアン、パグ、チワワ、コッカースパニエルなどは先天性肘関節脱臼の好発犬種であり、生後2〜3ヶ月未満の子犬で肘関節脱臼に伴う歩行異常や疼痛がある場合には、早期診断/治療により良好に機能回復できる可能性があります。
 

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