日本小動物外科専門医のいる動物病院
膀胱腫瘍は犬では比較的多くみられ、猫ではほとんどみられません。移行上皮癌は雌に好発する非常に悪性度の高い腫瘍です。その発症原因は不明ですがスコティッシュテリア、シェットランドシープドッグ、ビーグルなどに多発することから遺伝的関連も示唆されています。
血尿、頻尿、排尿困難などが一般的です。腫瘍が骨に転移して跛行することがあります。
全身状態と腫瘍の評価のために、血液検査、腹部超音波検査、レントゲン検査などを実施し、腫瘍の有無や位置、膀胱付近の器官やリンパ節の異常、骨や肺への転移などを評価します。尿検査では、尿中の腫瘍細胞の存在や感染の有無を評価します。確定診断のために膀胱内へのカテーテル挿入、あるいは膀胱鏡により生検することもあります。
腫瘍の進行度(部位、大きさ、浸潤の程度、転移の有無)により、治療目的や想定される合併症・予後が異なるために、飼い主様の意向など様々な要素を考慮して治療法を決定します。根治的治療として膀胱の部分切除・全摘出術、尿路変更術などの外科的治療法があり、緩和的治療として抗がん剤や非ステロイド性抗炎症薬を用いた治療法があります。
治療法や腫瘍の進行度により異なりますが、非常に悪性度の高い腫瘍であり、数か月以内に亡くなることがほとんどですが、適切な治療で良好な生活を維持したまま長期間生存するケースもあります。