日本小動物外科専門医のいる動物病院
ラブラドールレトリーバー、12歳、去勢雄、体重20 kg
のどにしこりがあることに飼い主様が気づいて受診されました。
気管周囲に直径4cm大の腫瘤性病変が認められ、解剖学的な位置より甲状腺腫瘍が疑われました。そこで、甲状腺ホルモンの測定をしたところ、血清総サイロキシン(T4)および遊離サイロキシン(fT4)の値が高値であり、甲状腺機能亢進症が認められました。身体検査において両側下顎リンパ節および右膝窩リンパ節がやや腫脹していたため細胞診を実施しましたが、明らかな転移性病変は認められませんでした。
気管の左腹外側に2.7×4.1×2.2cmの甲状腺由来のものと思われる腫瘤性病変を認めました。腫瘤の境界は明瞭であり、内部構造はやや不均一な造影増強を伴っていました。肺や腹腔内臓器への転移所見は認められませんでした。
左側甲状腺摘出術を行いました。周囲組織との癒着が少なかったため問題なく摘出することができました。病理検査の結果は甲状腺濾胞腺癌とのことでした。
術後1ヶ月の時点で喉頭麻痺などの術後合併症や再発の徴候はなく、経過は良好です。