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頭部頚椎接合部奇形 (CJA) を伴う脊髄空洞症のチワワSちゃん

  1. 専門分野
  2. 脳神経外科
  3. 脊髄空洞症
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患者紹介

チワワ、9ヶ月、避妊雌
2週間前に急性発症した背中の痛みを主訴に来院されました。

検査

  • 神経学的検査

頸部痛は明確ではなく、胸腰部痛を認めました。
両後肢の姿勢反応は低下、脊髄反射は正常でした。

  • 来院時の歩様
  • X線検査

泉門開存を含む頭蓋骨の部分欠損を認めました。

  • MRI検査

頭部MRI検査では側脳室の顕著な拡大から水頭症が疑われました。
小脳尾側は脊柱管内に陥入傾向で、延髄頸髄移行部の蛇行が認められ、頭部頚椎接合部奇形 (CJA)が疑われました。

  • 頭部MRI T2強調画像

頸〜胸腰部MRI検査では、C2~L1椎体上の比較的広範囲の脊髄実質背側寄りにT2強調画像で高信号、T1強調画像・FLAIR画像で低信号の所見を認め、脊髄空洞症/中心管拡張症を疑いました。
また同部位において脊髄が重度に菲薄化している様子も見られました。

  • T2強調画像
  • FLAIR画像

診断

腰痛の原因としてCJAを伴う脊髄空洞症と診断し、水頭症も併発していました。

治療経過

鎮痛剤、CSF産生抑制剤、ステロイド剤による内科治療への反応は良好で、
治療開始後5日目には両後肢のふらつきの改善が認められました。

  • 治療開始後18日目の歩様

CJAを伴う脊髄空洞症に対する外科治療

内科治療にてコントロール不良な場合には、外科治療が考慮され、その選択肢として大後頭孔拡大術、空洞‐くも膜下腔シャント術、または脳室-腹腔シャント術があります。
大後頭孔拡大術により約80%の症例で症状が改善する一方で、25-47%で症状の再発が報告されています。

当院ではこれらのエビデンスを踏まえ、症状の程度や進行スピードなどから飼い主様と慎重に議論を重ね治療方針を決定しています。

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