日本小動物外科専門医のいる動物病院
トイプードル、15歳、避妊雌、1.4 kg。
3ヶ月前に他院で胃腺癌と診断されました。悪性度が高い腫瘍であり、治療効果が十分に見込めない可能性を考慮し他院では積極的な治療をお勧めされることなく経過観察としていたようですが、食欲不振と嘔吐が悪化したため当院に来院されました。

BCS 1/5で重度に削痩し、血液検査で重度の貧血、低血糖、電解質異常などが認められました。腹部超音波検査/CT検査では幽門から十二指腸にかけて腫瘤性病変が認められ、胃うっ滞がありました。明らかな転移所見は認められませんでした。
輸血を行って手術に臨みました。CTおよび術中所見に基づき、幽門切除術および胃十二指腸吻合術(ビルロートI型)を行いました。胃の腫瘤形成部は潰瘍が形成されていました。病理検査の結果は胃腺癌でした。



手術2日後より経口摂食でき、嘔吐もありませんでした。
抜糸の頃には食欲旺盛になり、元気な姿を見せてくれました!
胃腺癌は非常に悪性度が高く根治が難しい腫瘍であるために、積極的な治療が実施されずに腫瘍が進行して手遅れになってしまうことが少なくありません。しかしながら、早期診断と適切な治療により、胃腺癌であってもQOLを維持し良好な生活を送れる可能性があります。治療のチャンスを逃すことなく最善の治療プランを計画することが重要です。