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MRIで診断できない脊髄動的圧迫を脊髄造影Dynamic studyにより確定診断した15kgのMix犬

  1. 専門分野
  2. 脳神経外科
  3. 脊椎不安定症
  4. MRIで診断できない脊髄動的圧迫を脊髄造影Dynamic studyにより確定診断した15kgのMix犬

患者紹介

Mix、14歳、去勢雄、体重15 kg
1日前にベッドから落下して以降、両後肢がふらつくとのことで来院されました。

  • 初診時の歩様

診断

神経学的検査で歩行不可能な両後肢の不全麻痺と胸腰椎移行部の脊椎痛があり、胸腰部の脊髄障害が疑われました。
鑑別診断リストとして椎間板疾患や腫瘍性疾患が考えられMRI検査を実施しましたが、両後肢不全麻痺の原因となる責任病変が認められませんでした。

  • MRI検査
  • 胸部MRI検査
  • 腰部MRI検査

脊髄動的圧迫、脊椎不安定症の可能性を考慮して脊髄造影検査、Dynamic study、CT検査を実施したところ、Dynamic studyで脊椎伸展時にのみ圧迫が認められる脊髄動的圧迫がL1-L2椎間にあり、脊椎不安定症が疑われました。

  • 脊髄造影CT検査
  • 脊髄造影CT検査では明らかな圧迫病変は認められない
  • Dynamic study
  • 中立位では圧迫病変は認められない
  • 脊椎伸展時にL1-L2椎間の圧迫病変が認められる
  • 脊椎屈曲位では圧迫病変は認められない

治療

L1-L2椎間の片側椎弓切除術と脊椎固定術を行いました。

  • チタンスクリューとPMMAによる固定

術後経過

手術から2週間後の退院時には歩行可能となり、術後2ヶ月の検診では歩様がさらに改善していました。

  • 術後2週間の歩様
  • 術後2か月の歩様

コメント

脊髄動的圧迫を伴う脊椎不安定症の診断のためには、通常の脊髄造影検査に加えて脊椎の屈曲方向を変化させたり牽引したりして圧迫病変の変化を評価するDynamic studyを実施する必要があり、通常のMRI検査ではこれらの圧迫病変は検出できません。Dynamic studyはMRI検査でも理論上可能ですが、特定の方向にストレスをかけ続けた状態で長時間の撮影を実施しなければならず、脊髄障害を悪化させる可能性が高いため現実的ではありません。

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