日本小動物外科専門医のいる動物病院
ウォーブラー症候群は後部頚椎脊髄症、頚椎すべり症などとも呼ばれ、一般的に大型、超大型犬種、とりわけドーベルマンとグレート・デンに多発します。
ドーベルマンなど、多くの犬種では成犬の発症が一般的ですが、重度の脊柱管狭窄を持つグレート・デンでは幼犬の発症が多く見られます。
頸部脊椎の不安定症や椎間板に関連する脊髄圧迫病変により頸部痛、運動失調、四肢不全麻痺などの臨床神経症状を引き起こします。初期症状の多くは頸部痛と後肢のふらつきです。頸部痛を伴う患者は首を動かすのをためらい、頭をまっすぐにしたまま低い位置に保とうとします。
軽度の運動失調、ぎこちない歩様、不全麻痺など様々な歩行異常が見られます。神経根の圧迫により、前肢を前方に引くと痛がることがあります。
運動制限、ステロイド療法などにより一時的に軽減しますが、多くの症例で慢性進行性(時に急性進行性)の経過をたどり、症状が進行すると四肢不全麻庫、歩行困難、起立困難へと陥るため、外科治療をお勧めします。
一般的に慢性症例、重度の神経障害を伴う症例、複数の圧迫病変を持つ症例などではよくありません。脊髄圧迫の部位、重症度、圧迫の性質(動的圧迫、静的圧迫)を評価し効果的な手術法を選択します。大型犬、超大型犬の術後管理は重労働であり、症例によっては術後の回復に数力月を要するものもあります。