日本小動物外科専門医のいる動物病院
ルークちゃんとジュリアンちゃんはそれぞれ12歳と13歳のトイ・プードルで、1歳違いの兄弟犬です。ルークちゃんは複数回の急性膵炎の病歴、ジュリアンちゃんは3歳の時に両側膝蓋骨内方脱臼の手術を当院で実施した病歴がありました。ルークちゃんは6歳、ジュリアンちゃんは9歳の頃から胆嚢内に粘液貯留が認められていたため定期検診を実施していましたが、少しずつ粘液貯留の程度が悪化していました。


ルークちゃんもジュリアンちゃんも胆嚢粘液嚢腫に伴う臨床症状や血液学的異常は認められず、画像検査で胆嚢内の粘液貯留が重度に認められるだけでした。胆管閉塞や胆嚢破裂のリスクと手術のメリットを飼い主様と相談し、2頭とも胆嚢摘出術を行うことを決断されました。
肝臓への損傷が最小限となるように胆嚢を慎重に摘出しました。摘出した胆嚢は病理組織検査に提出し、いずれも胆嚢粘液嚢腫との診断でした。


ともに深刻な術後合併症は認められず、元気に退院しました。手術後には食欲や活発さが明らかに改善したとのことでした。
胆嚢粘液嚢腫は胆管閉塞や胆嚢破裂などを起こすリスクがあり、これらは手術後の低い生存率や高い合併症率などに影響します。一方で胆嚢摘出術は周術期死亡率が比較的高い手術であり、無症状の場合の手術の実施やタイミングについては専門家の間で議論が続いています。ルークちゃんとジュリアンちゃんはともに無症状で血液検査の異常値もなく、手術については飼い主様とよく相談をして決断していただきました。手術後には明らかに元気になって活発さが増し、手術をやってよかったと飼い主様からコメントをいただきました。一見無症状であっても手術によってQOLが改善する可能性があり、手術のメリットとデメリットをよく理解していただいた上での飼い主様のご決断のもと良好な結果となりました。