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胆嚢粘液嚢腫(Gallbladder mucocele)

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胆嚢粘液嚢腫とは

胆嚢内に胆汁がうっ滞して粘稠性が増加し、可動性のないムコイドの凝集塊が形成される犬の疾患であり、胆管閉塞や胆嚢破裂、壊死性胆嚢炎などを引き起こします。近年の画像診断技術の向上により広く認識されるようになった比較的新しい疾患であり、その病態については不明な点が多いです。

疫学

多くの研究報告では10歳前後の中〜高齢犬に多いようですが、若い犬にも発生します。シェルティーやポメラニアン、チワワ、コッカースパニエル、ミニチュアシュナウザーなどの犬種に好発します。また甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患との関連も示唆されています。

診断

症状や血液検査、画像検査などをもとに診断します。嘔吐や食欲不振などの非特異的な症状や黄疸などが認められることがありますが、無症状であることも珍しくありません。血液検査では肝酵素の上昇が一般的で、胆管閉塞を伴う場合にはビリルビンの上昇、胆嚢破裂による胆汁性腹膜炎の場合には白血球やCRPの上昇が認められます。腹部超音波検査は胆嚢の評価に有用ですが、治療方針を決める際に超音波検査所見のみで判断することはありません。

治療

利胆剤や制酸剤などの投薬が行われることがありますが、これらの内科治療により粘液嚢腫が完全に消失することはほとんどありません。胆嚢粘液嚢腫の治療は、外科手術を実施すべきか、いつ実施するかが問題となります。例えば、過去に黄疸を呈したことのある患者や、シェルティー、ポメラニアンなどの好発犬種では、無症状であっても手術を実施することがあります。胆管閉塞や胆嚢破裂などの場合には重篤な症状を呈していることが多く、緊急手術が必要です。胆嚢の生存性や閉塞の程度に応じて、胆嚢摘出術や胆汁流路変更術を行います。

合併症・予後

膵炎、胆汁漏出、総胆管閉塞などの合併症があります。
胆嚢粘液嚢腫に対する外科治療は、一般的には周術期の死亡率や合併症発生率が比較的高いとされていますが、周術期を乗り越えることができれば長期的な予後が期待できます。

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