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胸腔内大網固定術と心嚢膜切除術を実施した猫のBちゃん

  1. 専門分野
  2. 呼吸・循環器外科
  3. 乳び胸
  4. 胸腔内大網固定術と心嚢膜切除術を実施した猫 Bちゃん

患者紹介

Mix猫、避妊雌、9歳、体重5.6kg
1ヶ月前から呼吸が荒いという主訴で来院しました。

診断

  • X線検査
  • 胸水の貯留、肺葉辺縁の鈍化が認められる
  • 胸水除去後、肺後葉部の辺縁鈍化、無気肺と思われる結節と気胸が認められる。 胸水除去後も肺の拡張障害が残存し、線維性胸膜炎が疑われる。

抜去した胸水は肉眼的に乳白色であり、性状検査により乳び胸と診断しました。内科的治療に反応が乏しかったため、外科手術を行いました。

治療

心嚢膜切除術、胸腔内大網固定術と胸腔カテーテル設置を行いました。

  • 心嚢膜の肥厚(青矢印)および右肺前葉一部と中葉の無気肺化(黄色矢印)が認められ、線維性胸膜炎を併発していた

術後経過

術後20日間は胸腔カテーテルから低圧持続吸引器による持続吸引を行いました。
退院後、注射器により陰圧維持管理を継続したところ、徐々に胸水の貯留は減少し、手術3ヵ月後には胸水貯留は認められなくなりました。

  • 術後3ヵ月のX線検査
  • 前葉部および後葉部の肺の拡張が認められる

線維性胸膜炎は不可逆的な変化であり予後不良とされていますが、術後20日間の長期的な陰圧維持管理により良好に生活できるようになりました。
特発性乳び胸に続発した線維性胸膜炎を起こしていても長期間の陰圧維持管理により改善する可能性があり、この患者の成績や予後などをまとめた論文を2013年に発表しました。

論文タイトル:線維性胸膜炎を併発した乳び胸に対して胸腔内大網固定術、心嚢膜切除術、胸腔内の陰圧維持管理により治療した猫の一例

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