日本小動物外科専門医のいる動物病院
カニーンヘン・ダックスフンド、1歳4ヵ月、雄、体重3.0㎏
右後肢の跛行を主訴に来院されました。
右後肢の体重負重性跛行、右側脛骨遠位の内反変形が認められました。
また、両側膝蓋骨外方脱臼(右:グレードⅡ、左:グレードⅠ)と診断しました。
右側脛骨遠位の内反変形に対して矯正骨切り術および創外固定を行いました。
また、同時に右側の膝関節に対して膝蓋骨外方脱臼整復術を実施しました。
健常対側肢の脛骨近位、遠位の関節面に対する骨長軸の角度を測り、これらを基に理想的な骨切り中心点を算出しました。
正常左肢のX線写真を参考にして理想的な骨切り線設定の為の角度測定を行います。
近位関節面(PJOL)および遠位関節面(DJOL)と、脛骨機能軸(MA)のなす角度(mMPTA、mMDTA)を測定。
mMPTA = 92°
mMDTA = 98°
正常肢のmMPTA(92°)とmMDTA(98°)を患肢に適用して求めた近位機能軸(PMA)と遠位機能軸(DMA)の交点が変形中心(CORA)。
※eOWA: expected osteotomy wedge angle 骨切り後の矯正角度
理想的な骨切り線では遠位関節面との距離が短く、固定強度の確保に必要な複数のピンを挿入できない為、実際にはこれより近位で骨切りします。
レントゲンにより内反および内旋変形に対する矯正角度、およびピンの位置を確認し、内側のPMMA固定を追加しました。
mMPTA = 90°
mMDTA = 92
術後の経過は良好で、患肢を使いよく歩いています。