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肘頭骨折

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肘頭とは

 肘頭は尺骨近位端の肘頭隆起、肘突起および滑車切痕近位部からなり、肘関節の強力な伸筋のレバーアームとして働きます。上腕三頭筋、肘筋および前腕筋膜張筋は肘頭後部に付着し、尺骨手根屈筋と深指屈筋の尺骨頭は肘頭内側面から起始します。

肘頭骨折は、滑車切痕を含む関節内骨折と関節外骨折に区別されます。肘頭骨折では上腕三頭筋群の牽引により近位骨折片が著しく変位するため観血的整復および内固定が不可欠です(図1)。尾側または外側面への骨プレート法やピンとテンションバンドワイヤー法により上腕三頭筋群による牽引に対抗した固定をします(図2,3)。

患者紹介

Mix(チワワ×トイプードル)、6ヵ月齢、雌、体重1.5kg
主訴:50cmの高さから飛び降りてから右前肢を挙上している。

  • 術前の歩様

整形外科的検査にて右前肢の完全挙上、肘頭の疼痛、腫脹を認めました。
X線検査にて右側肘頭成長板の剥離骨折を認めました。

  • X線検査
  • 図1.右側肘頭成長板が剥離骨折し、外側へ変位している

治療

尾側アプローチにて肘頭を露出し、2本のK wireと整形外科用ワイヤーによるテンションバンドワイヤー法を用いて固定しました。

  • 図2.尾側アプローチにて肘頭を露出後、整復(a)し、2本のK wireを挿入(b)。整形外科用ワイヤーを設置(c)し、骨折部が圧着されるまでねじり、余分なワイヤーを切断(d)。
  • 術後X線検査
  • 図3.術後X線検査

合併症はなく、術後4日目に退院しました。

  • 術後4日の歩様

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