日本小動物外科専門医のいる動物病院
Mix(チワワ×トイプードル)、3ヵ月齢、雌、体重1.3kg
左側膝蓋骨内方脱臼をかかりつけ医で指摘され、治療の相談のため来院されました。
両側膝蓋骨内方脱臼(左グレード4、右グレード2)と診断し、グレード4の左側では大腿骨と脛骨の著しい骨格変形が認められました。重症度の高い左側を早期に手術し、右側は骨格の成長を待って手術することとなりました。
縫工筋解放術、大腿直筋と内側広筋および中間広筋の筋間剥離、滑車溝形成術、脱臼防止ピン設置、外側関節包縫縮術を行いました。
時間経過とともに跛行は改善しましたが、手術から1ヵ月後の6ヵ月齢時に脛骨粗面転位術と脱臼防止ピンの調整を目的とした2回目の手術を行いました。
滑車溝の深化、脛骨粗面転位術、脱臼防止ピンの陽性ネジピンへの変更を行いました。
2回目の手術から1ヵ月後には跛行が改善し活発に走れるようになりました。
2回目の手術から3ヵ月後、右側の膝蓋骨内方脱臼がグレード3に進行し跛行するようになったため、9ヵ月齢時に右側膝蓋骨内方脱臼を手術することになりました。
滑車溝形成術、脛骨粗面転位術、外側関節包縫縮術を行いました。
3回目の手術から10日後には両側の跛行が改善し、1ヵ月後には元気に走り回っていました。
骨格成長期の動物では骨の成長とともに骨格が変形するため、早期の外科治療が推奨されます。また重症度の高いKちゃんのような症例では、1度の手術では矯正できないほど病態が複雑化していることが多く、複数回の手術を必要とすることがあります。