日本小動物外科専門医のいる動物病院
パグ、9歳、避妊雌
2ヶ月前から両後肢ふらつきと尿・便失禁が見られ、他院でMRI検査を実施したところ脊髄くも膜憩室と診断され、手術の相談のため来院されました。

両後肢不全麻痺および運動失調があり、胸腰部脊髄障害の神経学的グレード2–重度と評価しました。

T8-9椎骨レベルの脊髄くも膜憩室(赤矢印)とT10-11-12-L1椎間における椎間板ヘルニア(黄矢印)が認められる。脊髄造影ダイナミック検査ではくも膜憩室の形に変化は認められず、椎間板ヘルニア発生部位では脊髄動的圧迫が認められた。
T8-9〜T12-L1椎間の片側椎弓切除術、くも膜憩室の硬膜切開と造袋術、T10-11-12-L1椎間の脊椎固定術を実施しました。

術後2週間の検診時にはふらつきの程度が回復しており、活発に歩くようになったとのことでした。
パグの脊髄障害は、椎間板疾患に加えて脊髄くも膜憩室、関節突起形成異常、先天性脊椎奇形などが関連した脊椎不安定症が原因の1つになっていると考えており、通常の椎間板ヘルニアとは診断や治療が異なります。当院ではパグの脊髄障害を診断する際は脊髄造影ダイナミック検査や脊髄造影CT検査を実施し、脊髄動的圧迫や脊椎不安定症を確認した患者では通常の脊髄減圧術と併せて脊椎固定術を行っています。
また、脊髄くも膜憩室やパグの椎間板疾患に関する研究も行っており、国際的な学会での発表やジャーナルへの論文投稿で治療成果をアピールしています。