電話
03-5988-7888
FAX・時間外救急電話
03-5988-7887
MENU

会陰ヘルニア(Perineal Hernia)

  1. 専門分野
  2. 体表外科
  3. 会陰ヘルニア

会陰ヘルニアとは

骨盤隔膜の萎縮や分離により骨盤や肛門周囲の支持構造が脆弱化し、膀胱、消化管、前立腺などの腹部臓器が会陰部へ逸脱する病気です。ヘルニアの発生場所により尾側ヘルニア、背側ヘルニア、腹側ヘルニア、坐骨ヘルニアに分類されます。中高齢の未去勢雄での発生が多く、原因として先天性素因、直腸の異常、雄性ホルモンの影響、神経性筋萎縮、前立腺肥大などが示唆されていますが、詳細は不明です。プードル、ボストンテリア、ペキニーズ、ボクサー、コリー、ミニチュアダックスフンド、コーギーなどの犬種に好発し、稀に猫での発生も認められます。

症状

会陰部皮下の腫脹、便秘、排便困難、しぶりなどが認められます。膀胱が反転して尿路が閉塞すると排尿困難や失禁を起こすことがあります。

診断

身体検査でヘルニア内容や筋萎縮を確認し、直腸検査で直腸の拡張や憩室、前立腺肥大、肛門嚢腫瘤等の併発疾患を評価・確認します。会陰部の腫脹が片側性であっても直腸検査により対側のヘルニアが確認できる場合があり、必ず直腸検査により両側を評価します。X線検査や超音波検査などの画像検査で膀胱や前立腺などの逸脱の有無を評価します。膀胱反転により尿路閉塞が起こると、血液化学検査で高窒素血症が認められることがあります。

治療

食事療法や緩下剤による内科治療単独では十分な治療効果は期待できず、外科的にヘルニアを修復する必要があります。消化管の嵌頓や絞扼が認められる場合には緊急手術が必要です。膀胱反転による尿路閉塞や電解質異常がみられる場合には、カテーテルや膀胱穿刺による導尿処置と輸液による電解質補正をしてから外科治療を行います。外科治療の目的は、逸脱した組織を腹腔内に還納し、骨盤隔膜を再建してヘルニア部位を閉鎖することであり、筋萎縮の程度、会陰ヘルニア手術歴、逸脱臓器の種類などを考慮して複数の術式から適切な方法を選択します。未去勢の場合には去勢手術を同時に行うことで再発率が低下するため実施すべきです。また、会陰ヘルニアは両側性疾患の可能性があり、症状が片側性であっても両側の外科治療を推奨する報告もあります。

 

関連リスト