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肩関節脱臼(Shoulder luxation)

肩関節脱臼とは

肩関節は肩甲骨関節窩と上腕骨頭により構成され、関節包、肩甲上腕靭帯、肩関節周囲筋の腱などの軟部組織によって支えられています。これらの構造が損傷すると関節窩から上腕骨頭が脱臼します。肩甲骨関節窩に対する上腕骨頭の変位方向により内方、外方、頭側、尾側脱臼と分類します。

外傷性肩関節脱臼は、重度の外傷により関節を安定化する靭帯や腱が損傷されて起こります。一旦脱臼した関節はとても不安定で、非観血的に整復しても整復位を維持することが難しく、再脱臼や習慣性脱臼を起こすことが多く、損傷した靭帯や腱を強度の高い縫合糸などで修復あるいは機能代替する外科手術を適用します。
先天的な肩関節形成不全による肩関節内方脱臼はトイプードルやシェットランドシープドッグなどに多く発症します。脱臼の重症度は軽度の不安定性を示すものから完全に脱臼するものまで様々ですが、症状は脱臼の重症度と必ずしも一致せず、完全に脱臼した状態でも比較的良好な機能を維持することもあります。軽度の肩関節形成不全をもつトイプードルやヨークシャーテリアなどの小型犬が、中高齢になって、軽度の外傷や運動により内方脱臼を起こすケースがよくあります。非観血的整復が可能な場合もありますが、再脱臼することが多く外科手術が必要です。重度の肩関節形成不全の症例では整復と関節の安定化は困難で、切除関節形成術や関節固定術などを適用します。

症状と診断

跛行の程度は症例により様々で、重度の場合は足を完全に挙げて残りの3本足で歩きます。肩付近を触る、前足を持って抱き上げるなどの際に痛みを示すことがあります。慢性経過では肩関節周囲の筋萎縮がみられます。
肩関節脱臼は整形外科的検査で確認できますが、レントゲン検査により脱臼の方向や関節の形状などを確認し、離断性骨軟骨炎などの肩関節脱臼以外の基礎・併発疾患についても評価します。

治療

患者の年齢、サイズ、関節の形状、脱臼の方向、先天性か外傷性かなどの情報に基づいて、上腕二頭筋腱転位術、合成性縫合糸による腱・靭帯縫合術、肩関節棘上筋外側の脱臼防止ピン、経関節ピン、創外固定法、関節固定法などの方法を選択します。一部の外傷性脱臼を除きほとんどの患者では外科手術が必要です。

予後

外科治療の予後は、整復後の安定性や関節の形状、治療方法により様々で、日常生活に支障がない程度まで完全に回復する場合や、多少の歩行異常が残る場合があります。切除関節形成術や関節固定術では、患肢の正常な機能を回復しない場合があります。

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