日本小動物外科専門医のいる動物病院
1歳、トイプードル、避妊雌、体重3.4 kg
2ヶ月前に自宅内で走り回っているときに受傷し、かかりつけの動物病院で外固定治療(包帯)をしていましたが、3回脱臼を繰り返していたため当院を紹介受診されました。

肩関節内方脱臼が認められました。関節窩形成不全や上腕骨頭の変形は認められませんでした。

脱臼制動ピン(antiluxation pin)にて治療しました。


術後翌日より患肢の接地がみられ、前肢を持ち上げないようにリハビリを開始しています。
跛行はほとんど見られず、体重もしっかり乗せて歩いています。
外を元気いっぱいに走っています。
術後6年目の検診時も元気いっぱいでした
まもなく9歳を迎えるしずちゃん。今年も跛行なく元気に歩く様子をみせてくれました。
しずちゃんは若齢時に軽度な外傷で発症したことから、もともと肩関節に不安定性や変形があった可能性がありますが、X線検査では関節の構造は比較的良好に保たれていました。
脱臼制動ピンの治療を行うためには、脱臼の方向や変形性関節症の程度などいくつかの条件があり、しずちゃんは手術適応と判断しました。
3回の再脱臼にもかかわらず、術後早期に患肢に負重し、手術から8年経ちましたが1度も再脱臼なく跛行症状もありません。
肩関節内方脱臼の外科治療は様々な方法がありますが、脱臼制動ピンは手術時間が短く(10〜20分程度)、術式はシンプルで低侵襲、術後の運動制限がほとんど必要ないなどのメリットがあり、非常に画期的な方法です。
侵襲性の高い上腕二頭筋腱転位術や肩関節固定術を実施する前に、本法を検討してみる価値があるかもしれません。
※一部画像は飼い主様よりご提供いただきました。感謝申し上げます。