日本小動物外科専門医のいる動物病院
犬の肩関節内方脱臼に対する外科的治療には、これまで上腕二頭筋腱内側転移術、縫合による肩関節安定化術、関節固定術、または切除関節形成術が一般的でした。 近年当院では変形が重度な一部の症例を除いて、ピンを用いて脱臼を制動する侵襲性の少ない術式にて多くの症例を治療しており、16頭17肢の治療成績を2022年獣医麻酔外科学会にて発表しました(木原)。
肩関節頭外側アプローチにてより棘上筋と棘下筋の筋間を経て、上腕骨大結節内側からピンを垂直に挿入します。
上腕骨が内方に脱臼しようとすると、棘上筋(腱)がピンに制動をかけて、脱臼を防止します。
本術式は、以下のような利点があります。
2017-2022年に肩関節内方脱臼を本術式にて治療した16頭17肢では、16肢(94%)にて良好な予後が得られました(1肢再脱臼)。
術式は単純ですが、ピンの挿入角度や位置は、術中に各症例の肩関節不安定性に応じて調節する必要があり、高い技術を要します。