日本小動物外科専門医のいる動物病院
生後5〜11ヶ月の骨格成長期には、長管骨の両端にある成長板の軟骨細胞が骨化して骨が伸びていきます(図1)。成長板が骨折して損傷すると、骨の成長が阻害され、足の短縮や角度変形などの障害が起こることがあります。成長板骨折による障害が将来どの程度起こるかは、動物の年齢や骨折の形態、受傷からの経過時間、固定方法などの要因に影響されます。成長板損傷の程度を骨折直後に評価し成長後の障害の程度を予測することは困難なため、骨折治療後も定期的な評価を行います。
骨折のタイプに基づいて5種類に分けられます(Salter-Harris分類)。
I型:成長板の位置で骨端が骨幹端に対して変位している(図2)
II型:成長板の位置で骨端の変位があり、かつ骨幹端の一部が骨折している(図3)
III型:骨端を通過し成長板の一部におよぶ骨折。骨幹端は骨折していない
IV型:骨端、成長板、骨幹端におよぶ骨折(図4)
V型:成長板の圧迫骨折
骨折の整復固定前の不安定な状態では大量の血腫形成と筋組織の収縮が起こり、時間の経過とともに整復が困難になるため、できるだけ早期に整復・固定を行います。成長板に影響を及ぼして骨の成長を妨げるような固定方法を避け、骨が癒合したら必要に応じて固定具を除去します。成長板障害による成長異常や角度変形、関節の不整合がみられた場合には、矯正骨切り術などの追加治療を行います。