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胸椎の先天性奇形による脊髄障害を治療したパピヨン Aちゃん

  1. 専門分野
  2. 脳神経外科
  3. 先天性椎骨奇形
  4. 胸椎の先天性奇形による脊髄障害を治療したパピヨン Aちゃん

患者紹介

パピヨン、5ヵ月齢、雌
2ヵ月前からの進行性後肢不全麻痺を主訴に受診されました。

診断

四肢の脊髄反射は正常、両後肢の姿勢反応は消失しており、両後肢不全麻痺Grade 2 重度でした。
X線検査にて、第6~9胸椎に重度のkyphosisを認めました。

  • X線検査

先天性胸椎奇形による脊髄障害を疑い、脊髄造影検査を行いました。

  • 脊髄造影検査
  • T6-7-8-9椎間の脊髄圧迫を認める

第6-7-8-9胸椎間の脊髄圧迫を認め、先天性胸椎奇形による脊髄障害と診断しました。

治療

T6-7-8-9椎間の左側片側椎弓切除による脊髄減圧術および椎体固定術を実施しました。

  • 片側椎弓切除により露出した脊髄
  • 椎体に挿入されたポジティブスレッドピン
  • PMMAによる固定
  • 術後X線検査

術後経過

退院時には姿勢反応の回復を認めました。その後も徐々に改善し、術後6年間にわたり神経学的グレードはGrade0を維持しました。

  • 術後6年目の様子

 

術後7年目に後肢がふらつくとの主訴で受診されました。

  • 術後7年目の様子

両後肢の姿勢反応は低下しており、両後肢不全麻痺Grade 2中程度でした。
脊髄造影検査およびDynamic studyを実施しました。

診断および治療

  • X線検査(術後7年目)
  • 脊髄造影ストレス検査
  • 中立位
  • 伸展位
  • 屈曲位

第7-8胸椎間に脊髄圧迫を認め胸椎奇形に関連した局所の急性脊髄障害と診断しました。Dynamic studyでは脊髄動的圧迫は確認できなかったため第6-7-8-9胸椎間の右側片側椎弓切除による脊髄減圧術を実施しました。

術後経過

2回目の手術後の明らかな急速な改善は見られませんでしたが、術後2年目の現在、ふらつきながらの歩行可能な状態を維持しています。

  • 2回目の手術から2年目の様子

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