日本小動物外科専門医のいる動物病院
Keyword:椎体奇形、椎体不安定症、ベントラル・スロット、椎体固定術、軟口蓋過長
フレンチブルドッグ、6歳、去勢雄、体重11.3kg
元気消失、ギャンギャン鳴くくらいどこか痛がる様子、右前肢の挙上を主訴に来院されました。
頸部痛および間欠的な右前肢跛行を認めました。また、軽度から中程度の上部気道閉塞音を認めました。
X線検査では、第3, 4頸椎奇形による側湾症および変形性脊椎症を認めました。
頸椎不安定症、頸椎椎間板ヘルニア、骨腫瘍などを疑い、脊髄造影検査と脊髄造影CT検査を行いました。
第4-5頸椎間における腹側からの脊髄圧迫を認めました(左から中立位、屈曲位、伸展位、牽引をした Dynamic study)。
CT検査にて明らかな骨腫瘍は認められず、脊髄造影検査および脊髄造影CT検査にて第4-5頸椎間の脊髄圧迫を認めたことから、頸部椎間板ヘルニアと診断しました。
頸椎に先天性奇形を認めることは珍しく、変形性脊椎症を発症していることから、頸椎の奇形に伴う椎体不安定症が病因の一つと考えられました。
第4-5頸椎間に対し腹側減圧術(ベントラル・スロット)および椎体固定術を実施しました。
続いて、軟口蓋過長に対し切除を行いました。