日本小動物外科専門医のいる動物病院
チワワ、7ヵ月齢、去勢雄、体重1.9Kg
両前肢の変形を主訴に受診されました。
歩様異常はありませんでした。
両側前腕の前屈、両手根関節の外反、外旋および伸展時可動域の低下を認めました。
左肘関節の不整、両側橈骨の前屈および外反、両側尺骨の短縮を認めました。
両側の橈尺骨に対し、矯正骨切り術を行いました。
両側の頭尾側、側方レントゲンからcenter of rotation of angulation (CORA)を求めました。
手根関節のjoint orientation lineと平行になるようにCORAでの橈骨骨切りを計画しました。尺骨の横断骨切りは、橈骨骨切り部位もしくはやや近位を計画しました。
尺骨骨切り後に、想定している橈骨骨切りラインの近位と遠位にそれぞれ3本のK-wireを設置し、橈骨を骨切りしました。橈骨の前屈に対して閉鎖楔型骨切り術(Closing Wedge Osteotomy)となるように橈骨頭側から楔形に厚さ2mm程度トリミングしました。さらに外反および外旋を開放楔形骨切り術(Opening Wedge Osteotomy)として矯正後、PMMAによるFree-form多平面2型創外固定法を適用しました(PMID: 31140637)。対側肢も同様に実施しました。
軽度の跛行を認めましたが、術後5日目に退院しました。
1週間後の再診では跛行はほとんどありませんでした。
手術から2ヵ月後に固定強度を下げるため、片側のアクリル樹脂を外し生活をします。歩様に問題なく、元気に歩いています。
X線検査で骨切り部の骨癒合を確認した後、創外固定ピンを抜去します。
とても元気で活発に歩いています。