日本小動物外科専門医のいる動物病院
肝臓で生成された胆汁は肝内胆管、総胆管を経て十二指腸に排出されます。その経路の途中には胆嚢があり、余剰な胆汁を蓄える機能があります。これらの流路が慢性膵炎や胆石、胆嚢粘液嚢腫、腫瘍などにより閉塞あるいは狭窄すると、本来十二指腸に排出される胆汁がうっ滞して血液中に吸収され、臓器や組織に障害を及ぼします。重度の胆汁うっ滞により胆嚢が拡張し胆嚢破裂を起こすこともあります。
食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、腹部痛などの非特異的な症状や、黄疸、白色便などを示します。無症状であることも多く、黄疸が出て初めて異常に気づくことも珍しくありません。
血液検査や尿検査、X線検査、腹部超音波検査およびCT検査などを行い、上記の症状、特に黄疸を引き起こす肝外胆管閉塞以外の肝臓疾患や溶血性貧血などを評価し、肝外胆管閉塞の原因となる基礎疾患の有無を確認して治療方針を決定します。診断が困難な場合には、試験的開腹を行うこともあります。
肝外胆管閉塞の原因によって治療法は異なります。膵炎に起因する場合には内科治療に反応することもありますが、重度の臨床症状を呈して来院する動物の多くは外科治療を必要とします。外科治療の目的は閉塞や狭窄の解除、または胆汁流出路を確保することであり、閉塞の原因や併発疾患の有無に応じて適用する術式も異なります。