日本小動物外科専門医のいる動物病院
クランバースパニエル、6歳、去勢雄、体重33kg
急性の両後肢麻痺を主訴に来院し、MRI検査の結果を踏まえ第1-2腰椎間の椎間板ヘルニアの手術に加え第12胸椎椎体領域に発生した脊髄の腫瘍を外科的に切除しました。
術後、後肢麻痺の症状は改善していましたが、切除した脊髄腫瘍の病理所見から脈絡叢腫瘍の転移巣が疑われたため、4ヵ月後に原発巣の検出を目的として胸腰部脊髄に加え頭蓋内と頸部脊髄を追加したMRI検査を行いました。
延髄右側第四脳室外側口部に造影剤により境界明瞭で内部はやや不均一に増強される病変が認められ、発生部位から脈絡叢腫瘍の原発巣と考えられました。
Cちゃんには頭蓋内腫瘍に関連した症状が無く、外科的な切除には大きなリスクが伴う場所に腫瘍が存在していたため、放射線治療なども検討しましたが飼い主様との相談の結果、経過観察することにしました。
その後の経過は順調でしたが、手術より18ヵ月後に両後肢の固有位置感覚の低下と右目の視覚消失が認められたため、再度、頭蓋内、頸部と胸腰部脊髄のMRI検査を行いました。第四脳室右外側口部腫瘍の拡大が確認されましたが、脳室の拡大やT12腫瘍病変摘出部位の再発はなく、新たな転移巣も認められませんでした。
手術より24ヵ月時点まで元気に過ごしていることを確認しています。