日本小動物外科専門医のいる動物病院
日本猫、去勢雄、15歳、体重3.1kg
約1年前から夜鳴きや粗相などの行動学的異常が始まり、後ろ足に力が入らない様子がありました。1ヵ月前からは眼振と旋回、顔面のチックが見られ、来院1週間前に意識を失う全般発作を起こし来院しました。
呼びかけや刺激に対する反応が乏しく、軽度の意識障害が認められ、運動失調と右片麻痺、左頭位回旋および旋回、垂直眼振を確認し大脳から小脳に影響を及ぼす頭蓋内病変を疑い頭部MRI撮影を行うこととなりました。
MRI検査では前頭葉から頭頂葉にかけて巨大な腫瘤性病変が確認でき、特徴的な画像所見より猫の髄膜腫が疑われました。また、腫瘤によって脳圧が亢進し、大孔ヘルニアや小脳扁桃ヘルニアなども見られ危険な状態であることがわかりました。
脳腫瘍摘出のため開頭手術を行いました。
腫瘤は病理検査で髄膜腫と診断されました。
術後翌日より意識状態や活動性の改善が見られ、術後9日目に退院しました。
猫の髄膜腫では腫瘍と周囲組織との境界が明瞭であることが多く、完全切除ができる場合があります。Hちゃんにも良好な予後が期待できます。
歩様に問題はなく、削痩していた体格も標準体型に戻るほど元気に過ごしています。