日本小動物外科専門医のいる動物病院
骨折の部位、骨折線の方向や数、変位の有無、開放骨折の有無、他の組織損傷の有無などを身体検査やX線検査で評価します。
固定法は骨折部位、形態、年齢、体重、動物の活動性、基礎疾患の有無、飼い主様の意向など様々な要素をもとに決定しますが、複数の固定法を選択可能な骨折と適用できる固定法が制限される骨折があります。
骨片に挿入したピンを皮膚の外で連結させる方法で、全ての長管骨(上腕骨、橈尺骨、大腿骨、脛腓骨)骨折や顎骨折、中手骨・中足骨骨折など多くの骨折治療に適用可能です。骨折部および周囲組織への侵襲が少なく(低侵襲)、固定具の構造や強度を変えて必要な固定強度に応じた調節がしやすく、小骨片にも適用可能など多くの利点があります。
ピンを連結させる固定具はその形状によって棒状、リング状、それらの混合(Hybrid)など様々なものがあり(図1)、ステンレスやカーボン、アクリル樹脂などの素材を使用します。当院ではアクリル樹脂を用いたFree-formという方法を頻繁に用います(図2)。
骨癒合後はピンを取り除くため体内にインプラントが残りません。術後3~4ヵ月は包帯交換やピン周囲の消毒のために月2〜3回程度の通院が必要です。
骨折部位を架橋したステンレスあるいはチタン製のプレートをスクリューで固定する方法です(図3)。ほとんどの長管骨骨折や骨盤骨折などに適用可能ですが、プレートの形状やサイズ、長さ、厚みなどは様々で、骨折形態やプレートの機能などを十分に理解して適切なプレートを選択します。
プレートに関連した合併症がなければ骨癒合後のプレート除去は必要なく、術後管理が容易で通院の頻度を減らすことができます。
従来のプレートシステム(コンベンショナルプレート)は、スクリューのプレート圧着により骨折部を安定化しますが、ロッキングプレートではスクリューホールとスクリューヘッドがロックされることにより角度安定性が生じて骨折部が安定化します。スクリューの緩みが起こりにくく、コンベンショナルプレートのようにプレートと骨を圧着させる必要がないため、骨膜の血流が温存され、プレートの成形も不要です。
髄腔内に挿入したピンにより、骨片を配列・支持します(図4)。髄内ピン単独で治療することはなく、創外固定やプレートと併用します。
柔軟なステンレス製ワイヤーで、骨の周囲を取り囲むサークラージワイヤー法(図5)やテンションバンドワイヤー法(図6)に使用します。前者は長斜骨折やらせん骨折、術中の一時的な整復維持に、後者は脛骨粗面剥離骨折や肘頭骨折などに適用します。この方法単独で治療することはなく、創外固定やプレート、髄内ピン、Kワイヤーと併用します。