日本小動物外科専門医のいる動物病院
チワワ、11歳、雄
3ヵ月前より認められる慢性進行性の四肢不全麻痺を主訴とし、ホームドクターでMRI検査を実施したところ、頸椎に多発性の脊髄圧迫所見を認め手術の相談のため当院に来院しました。
身体検査では頸部痛は認められませんでした。自力歩行は可能でしたが、立ち上がりがやや困難でした。
神経学的検査では意識レベルおよび脳神経に異常はなく、四肢の姿勢反応は消失、脊髄反射は四肢でいずれも正常でした。頸部脊髄障害の神経学的グレード2–中等度と評価しました。
初診より約1ヵ月後、伏臥位からの起立が困難になり再来院しました。頸部脊髄障害の神経学的グレード3と評価しました。
大槽穿刺により脳脊髄液(CSF)を採取し、院内での簡易的な性状検査を実施して炎症性疾患の可能性を除外した上で、脊髄造影検査を実施しました。
第4-5-6頸椎間の動的圧迫病変に対しベントラルスロット術および椎体固定術を実施しました。
術後は呼吸状態が落ち着くまで一時的に酸素吸引を行いましたが、経過は良好で術後3日目には起立姿勢を維持できるようになり、術後5日目に退院しました。退院時の頸部脊髄障害の神経学的グレードは2–中等度でした。
術後2週間の抜糸時にはふらつきは改善され、頸部痛は認められませんでした。今後は徐々に運動量を増やしリハビリを継続していくことで、さらなる改善が見込まれます。
術後7ヵ月の様子はふらつきもなく、元気に走っています。